さて、表題の件、過去これまで色々な意見がありました。皆さんは、特に哺乳の子牛に粗飼料を与えていますか?どれくらい与えていますか?


▼哺乳子牛に粗飼料を与えるべきという意見

・多少の粗飼料を与えることでストレス緩和、舌遊びや異嗜を防ぐ

・少量の粗飼料でスターターの摂取量が高くなる、飼料効率が良くなる

・粗飼料により第1胃の絨毛のブラッシングになる、物理性が必要

▼哺乳子牛に粗飼料を与えないべきという意見

・哺乳子牛は単胃動物と同じなので粗飼料は不要

・哺乳子牛は粗飼料を分解する準備が出来ていない、食べ過ぎると”hay berry”(未消化乾草の詰まった腹)になる。

・ルーメンの発達に粗飼料は不要、ルーメンpHを安定的に上昇させるわけではない

(上記、2016年8月29日九州沖縄産業動物臨床研究会 アメリカにおける戦略的な子牛育成管理セミナー資料より引用)


特に昔は子牛に粗飼料はいらない、と言われていたみたい。

現段階の結論は、少量の粗飼料は哺乳子牛にも必要。哺乳量が多い(6L以上)であれば空腹によりドカ食いしないので不断給餌でも問題ない、だと私は理解しているんだけど、、

最近またメタ解析の文献も出ていたので、過去の文献も含めてみんなで一緒におさらいしましょう。

・哺乳子牛で最もルーメンアシドーシスのリスクとなる要因は、乾草の摂取量。乾草摂取量が80g/日を下回るとリスク高。※この時のスターター摂取量は680g/日以上を3日連続でクリアした条件、哺乳量は粉750g/日、粗飼料はチモシーで形態は細断

Short communication: Effect of calf starter on rumen pH of Holstein dairy calves at weaning – Journal of Dairy Science

・哺乳子牛で代用乳給与水準が高く(最大8L)離乳が8週齢程度の場合は、粗飼料(オーチャードグラス)の自由採食は人工乳摂取量の制限要因とはならない。

※ミルクは全乳を給与/ 離乳時点のスターター摂取量は約2kgで粗飼料有無で摂取量に有意差無し/ 乾草摂取量は離乳時で500g程度/ ADGは粗飼料無区で0.82kg/d、粗飼料有区で0.88kg/d/ 粗飼料給与はルーメン容積を拡げDMI、DGを高めたが、ルーメン絨毛の長さやルーメン壁の厚みには有意差なし(n=5×2)。

Hay intake improves performance and rumen development of calves fed higher quantities of milk – Journal of Dairy Science

・乳用雄子牛の離乳移行期(5週齢~10週齢)における粗飼料給与は、ルーメン内pHの日内変動を発現させ、ルーメンアシドーシスを抑制する。さらに、肝臓由来の炎症指標酵素(AST)の血中濃度の増加を抑え、成長ホルモン濃度を増加させる。※哺乳量、離乳は7週齢、スターターとチモ(細断)を給与する粗飼料区とスターターのみを給与するスターター区に乳用雄子牛を各8頭 

乳用雄子牛の離乳移行期における粗飼料給与はルーメンアシドーシス抑制に有効である | 農研機構

Effects of forage feeding on rumen fermentation, plasma metabolites, and hormones in Holstein calves during pre- and postweaning periods1 | Journal of Animal Science | Oxford Academic

・哺乳子牛の粗飼料の種類 / 草の種類はあまり重要ではないが、アルファルファヘイは制限しないと人工乳摂取量を低下させ増体を低下させる。 ※飼料効率は体重増加量(kg)/総飼料摂取量(kg):代用乳粉+スターター+粗飼料)で計算、つまり摂取した飼料全体1kgで体重がどのくらい増加したかを示す / この時の代用乳給与量は最大4L(粉500g)、離乳時57dayでおおよそスターター1.5kg摂取

Effect of different forage sources on performance and feeding behavior of Holstein calves – ScienceDirect

粗飼料対照区 (粗飼料なし)アルファルファ ヘイライグラス ヘイオーツ ヘイバーレイ サイレージトリティケール サイレージコーン サイレージ
ADG(kg/d)0.72c0.76bc0.84ab0.93a0.88a0.88a0.82ab
スターター摂取量kg/day0.88cd0.76d0.99abc1.14ab1.06ab1.17a0.98bc
粗飼料摂取量kg/day0.12a0.0046b0.101a0.06b0.048b0.051b
飼料効率※0.550.540.560.550.560.540.55

個人的には、アルファルファヘイは量を制限しても鼓脹症がやっぱり起きやすくなるので好きじゃないのですが文献ではそういう報告は見つからなかった。のと、粗合性の高い粗飼料のほうが粗飼料を食べないけど飼料効率は良くなるのは、面白いなぁと思いました。なんで粗飼料の種類試験する論文は哺乳量4Lでやったんだろう。草をどか食いするかもしれないけど、それでも!って感じなんだろうか。

・2017年のメタ解析 / ルーサンでDMI増、粗飼料給与でDMIやDG増の増加(ただし腸管内容物の増加による体重増の可能性も高い)、ルーメンpHの向上に寄与するが飼料効率は低下、またそのパフォーマンスは粗飼料の種類、給与量、給与方法、スターターの物理的形態(マッシュだと最も効果的)に依存する。

Effects of forage provision to dairy calves on growth performance and rumen fermentation: A meta-analysis and meta-regression – ScienceDirect

そして、最近出てきたメタ解析の文献、これらの伏線をきれいにまとめてくれるのか…?!?!読んでみる。スライド2つ、NotebookLMに書いてもらった、ほんっと綺麗にまとめるよねぇ…。感心する!

・まとめ:乳用子牛への粗飼料給与は、成長パフォーマンス、体格の成長、およびルーメン発酵の発達を改善離乳前は全乾物摂取量の約12%を目安に給与することがDMI最大化に最も効果的

詳細

・哺乳子牛に粗飼料を給与すべきか、しないべきか、議論になってきたが、その結果には一貫性がない

・文献ごとに使用する粗飼料や哺乳量が異なり単純に比較しづらい/ 今回は3段階のメタ解析を実施/粗飼料給餌量と成績との関連性を予測するために混合効果モデル・パブリケーションバイアスを判定するためにファンネルプロットおよびエガー検定・最終的なデータセットには36の論文から得られた合計86の処理区を含み、効果量の評価には加重平均差、効果量の統計的異質性はコクランのQ検定を用いて推定した。

・アメリカで粗飼料を哺乳期に給与する酪農家、過去20年間で86.7%から43.3%に減少

・粗飼料の補給は子牛の成長成績、骨格成長、ルーメン発酵の発達を改善することが示された。しかし、モデレーター解析により、粗飼料の種類、給餌方法、スターターの物理的形態、ミルクの給餌量、および粗飼料給餌量を含むいくつかの要因が変動性に大きく寄与している可能性、子牛への粗飼料供給の効果には、それらを一括りでは説明できない違いが認められた。

・アルファルファヘイやわらに比べ、オーツヘイが、またTMRと比較して別給餌で与えた場合の方が、より大きな効果が認められた。また別給餌で、総DMIおよび胴囲が大きくなった。

・粗飼料の給与は、ペレットやフレーク&ペレットを与えられた子牛も、マッシュのスターターを与えられた子牛の成長促進においてより効果的であった

・離乳前期と比較して、離乳後期において子牛への粗飼料供給の効果はより顕著

離乳前は、総乾物摂取量を最大化し、子牛の成長と発育を支えるために乾物の12%の粗飼料を給与するのが最適の可能性が高い(オーツや藁では9%)

Effects of forage feeding to calves on performance, rumen fermentation, and nutrient digestibility: A meta-analysis – ScienceDirect

個人的には、乾物で12%、つまり乾物1kg食べている牛なら、輸入乾草として乾物88%換算で136gの粗飼料、配合飼料も乾物88%換算1000kgという感じ?なんだか少ない気がしますが…。

これは現在のメタ解析の中で、DMIを最大にする、ための比率である、ということを念頭にすると現状はこのような数字になるようです。

というか、アメリカの酪農家、粗飼料、哺乳中に給与する農家減ってるの?フレーク&ペレット&バルキーのようなスターターにバルキー源的なものが入っているから別で粗飼料は与えないという感じなのでしょうか。どなたか現状の北米の哺乳の粗飼料給与の現場のトレンド、ご存じでしたら教えてください。